✵病気発症のメカニズム⑤継続的な交感神経優位による弊害
✷交感神経優位が引き起こす病態
ストレスを受けると、自律神経は、交感神経が優位となり、それを乗り切るための反応が起こります。長期化すると、交感神経が継続的に優位な状態となり、様々な障害をお越し、病気を招きます。
交感神経が優位の状態が続くと、身体の中では、どんなことが起こるのでしょうか?
①血流障害、低体温・低酸素
・交感神経が緊張するとアドレナリンが分泌され、血管が収縮する。緊張が続くと、血管は収縮傾向となり、血流障害が起こる。
・血管収縮→高血圧 ・血管収縮、血流低下→狭心症、不整脈、気胸(肺で血流の低下)、メニエール病(内耳で血流の低下)・血管収縮、血流低下→代謝・内臓機能の低下→肩こり、腰痛、めまい、耳鳴り
・心拍数増加→緊張・興奮→イライラ、怒りっぽい、不安、不眠、恐怖感→知覚の低下→視野、考え方が狭くなる、がんこ、がんばりすぎ
・血液は全身へ栄養を送り、老廃物を回収しているが、血流障害により、このサイクルの停滞=代謝障害が起こる。
・細胞の活動、働きの低下が起こり、全身倦怠、集中力の低下、イライラ、不眠など、心身両面で不調が表れる。
・また、血液には熱を運ぶという重要な働きもあるので、血流障害は、低体温を生む。
・低体温になると、代謝だけでなく、体内の様々な生命活動を支えている酵素の働きも低下。代謝産物が溶けて排出されずに体内で留まる不溶化という現象が起こる。(これにより、胆石症などが起こる)
・低体温では、リンパ球、マクロファージの働きの低下が起こる。
・代謝に必要な温度が得られないと、遺伝子の働き(DNA→RNA→たんぱくの合成)の機能が低下する。
②高血糖
・交感神経優位の状態が続くと、カテコールアミン、ノルアドレナリン、糖質コルチコイドなどの分泌が高まりまる。それらは、血糖を上げる作用があるため、高血糖状態を作る。
・低体温、低酸素状態に、高血糖が加わると、解糖系のエネルギーサイクルが刺激される(糖を利用)
・解糖系が優位となると、持久力をつかさどるミトコンドリア系のエネルギーサイクルの機能が低下、たんぱく質の合成も低下し、疲労とやつれが生じる
・細胞の代謝機能も低下。ぶとう糖の利用が十分にできなくなり、糖尿病の状態を作る。
③顆粒球増加→組織破壊
・顆粒球は増えすぎると、体内の常在菌を攻撃し、細菌のいるところでは、化膿性の炎症(肝炎、膵炎、口内炎、など)を起こし、いない所では、組織破壊の炎症(胃潰瘍、潰瘍性大腸炎、十二指腸潰瘍、歯周病、クローン病など)を起こす。
④リンパ球の減少
・交感神経が優位になると、副交感神経は抑制され、同時にリンパ球が減少する。
・ウイルス等と闘う能力の低下→風邪、病気にかかりやすくなる(口唇ヘルペス、帯状疱疹など発症)
・がんに対する攻撃にも重要なため、がんの発症のリスクが高まる。
⑤排泄、分泌機能の低下
・臓器や器官の排泄や分泌機能も低下する。
・老廃物が排出できない…胆石、腎臓結石等
✷交感神経緊張で起こる病気の主なもの
歯周病、胃炎、胃潰瘍、膵炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、腎不全、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫、痔、狭心症、心筋梗塞、脳卒中、クモ膜下出血など。男女差の少ない膠原病、甲状腺機能亢進症、皮膚硬化症、ベーチェット病、多発性硬化症など、
✷副交感神経優位が引き起こす病態
交感神経優位と反対の状態なので、一見良さそうに思えますが、副交感神経優位に傾きすぎても、良くありません。
・副交感神経優位…リンパ球増多→アレルギー疾患(アトピー性皮膚炎、ぜんそく、花粉症)過敏症など
・急なストレス→副交感神経反射を起こしやすい。
・副交感神経興奮→脈が遅くなる→活力を失う。
→活動低下→低体温
✷少数の人は、両方の病気になる
なぜか?というと、副交感神経優位でリンパ球増多状態では、少ない抗原に対してアレルギー症状を示す(くしゃみ、虫刺され強く腫れる、風邪で高熱、)物理的な刺激だけでなく、心のストレスに対しても、過剰に反応するとゆう理由が挙げられます。
不定愁訴、更年期障害も、副交感神経優位でリンパ球が多い人がストレスにさらされ、一気に交感神経優位になる病気と考えられます。
もともと副交感神経優位なので、落ち着くと、副交感神経優位に戻り、これが繰り返される病気とみることができます。
リンパ球の平均的な比率は、男性31%、女性38%と、女性の方が高い。リンパ球が多いと病気にかかりにくい反面、ストレスに対する感受性が強いという側面があります。
過剰なストレスを受けると、一転して、交感神経が緊張、顆粒球が増え、炎症を起こします。…膠原病、リウマチなどが、女性に多いのは、こういった理由からです。
参考文献
病気は自分で治す/安保 徹著
自分の免疫力で病気を治す本 安保徹、岡本裕 著
薬をやめると病気は治る/安保 徹著
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